東海・東南海・南海地震 予測への取り組み

東海地方の陸域から紀伊半島沖、四国沖に震源域が連なる南海トラフの海溝型地震は、どんなメカニズムで連動型の超巨大地震になるのかを探ろうと、文部科学省は新規プロジェクトとして「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」を平成20年度予算案から盛り込んでいる。24年度までの5年計画で海底の観測網を大幅に拡充し、3地震が連動する可能性や地震、津波被害の高精度予測などを目指している。

【マグニチュード8クラス 死者2万8千人】

東海、東南海、南海地震は、日本列島が乗る陸のプレート(岩板)とフィリピン海プレートの境界で起こる海溝型地震で、単独でもマグニチュード(M)8級の巨大地震となる。政府の地震調査研究推進本部によると、今後30年以内の発生確率は東海地震(M8程度)が87%、東南海地震(M8・4前後)が60~70%、南海地震(M8・4前後)が50%と見積もられ、今世紀前半のうちに発生する可能性が高い。

 過去の発生パターンから、100~150年間隔で発生する「周期性」と3地震が歩調を合わせて活動する「連動性」が知られ、宝永地震(1707年、M8・6)のように3つの震源域が同時に動いた場合には、最悪で死者2万8000人、経済的損失は81兆円という膨大な被害が想定される。

東海・東南海・南海地震の連動が懸念される

東海・東南海・南海地震の連動が懸念される

一方、過去の津波の履歴やコンピューターシミュレーションなどの最新の研究成果から、多くの地震研究者は「次の活動が、連動型の超巨大地震になる可能性が高い」と指摘する。だが、海底震源域の詳細な観測や構造探査はほとんど手つかずで、直接的に連動の可能性を探る研究はこれまで実施されなかった。

【海底探査による中期予測(10年確率)を目指す】

計画では、観測網が手薄な太平洋沖を中心に400台の海底地震計を新たに設置し、震源域の構造や地殻変動の様子を詳細に探る。また、海底音波探査による深部構造の調査や海域での津波観測も充実させる。これらの実測データに基づいて、地震予測のための物理モデルを構築し、スーパーコンピューターによる高度なシミュレーションに結びつける方針だ。

 東海、東南海、南海地震のシミュレーションはこれまでにも、海洋研究開発機構などが地球シミュレータで実施しているが、連動パターンがどんな要因(パラメーター)で決まるのかといったメカニズムの解明までには至っていない。連動のメカニズムを突き止め、経験則に基づく現行の長期予測(30年確率)から一歩進んで、物理モデルに基づいた中期予測(10年確率)の実現を目指す。平成20年度予算案に12億円を計上、5年間で60億円規模のプロジェクトとなる。新たに投入される海底地震計などで、震源域の構造をどこまで詳細に解明できるかが、計画全体の最大のポイントになりそうだ。

【連動型の超巨大地震を前提に】

連動型の超巨大地震が発生すると、日本の存続を揺るがしかねない被害が予測されるが、現在の日本の地震防災対策は3地震が同時発生するケースを想定していない。

 東海地震と東南海・南海地震は切り離されているからだ。たとえば、東海地震の警戒宣言が発令され、東南海・南海地震の連動も懸念される場合でも、連動を想定した具体的な事前の対策は策定されていない。文科省は連動性評価に基づいて被害予測や復旧・復興に関する政策研究も進めるとしているが、国の地震対策が今のままでは成果を十分に生かしきれない可能性がある。

 最も重要なのは被害の軽減に直結する地震対策を、一日も早く「連動型」に転換することだ。

東南海・南海地震の予測は可能か?

東南海・南海地震の予測は可能か?

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