「連動型巨大地震」を起こす断層を発見 南海トラフ

和歌山・紀伊半島沖の南海トラフ沿いで、「連動型巨大地震」を起こす断層を発見したと、東京大大気海洋研究所の朴進午・准教授(海洋地質学)らの研究チームが発表した。この断層は、東南海地震の震源域で見つかっている断層の西側に延び、総延長は200キロ以上に及ぶ。チームは東海・東南海・南海の3地震が同時発生したとされる1707年の宝永地震(マグニチュード=M=8.6)でこの断層が大きく動き、大津波を引き起こしたと推定している。  南海トラフでは、古文書に記された被害の状況から連動型巨大地震が起きたと推測されてきたが、連動を裏付ける断層が見つかったのは初めて。  チームは1997~2005年、紀伊半島沖で探査船から音波を出して海底下の地質構造を調査した。これまでに、潮岬東側で1944年の東南海地震(M7.9)を起こした断層と、断層が押し合って盛り上がった海底隆起を見つけた。集めたデータを再解析した結果、この海底隆起が潮岬西側の南海地震の震源域まで続いていると分かった。  今後、この断層が大きくずれれば、海底隆起が形成される際に海面が押し上げられ、巨大津波が発生する恐れがある。隆起の...

東日本大震災前に「ゆっくり滑り」 東南海、南海地震も注意

東日本大震災の本震(マグニチュード=M9.0)が起きる前の約1カ月間に、岩手・宮城沖のプレート境界の震源域がゆっくり滑る現象が2回起きていたことが分かった。本震2日前の最大前震(M7.3)を挟んで発生しており、本震の発生を促す「最後の一押し」になった可能性があるという。東京大地震研究所の加藤愛太郎助教や小原一成教授らが19日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。  東北地方の太平洋側沖合では、太平洋プレートが陸側プレートの下に年間10センチ弱のペースで沈み込んでおり、本震はプレート境界が一気に最大20メートル以上滑って発生した。震源域北側の青森沖や南側の茨城・千葉沖では今後、再び大地震が発生する恐れがあり、小原教授は「ゆっくり滑りが起きた場合、力が1カ所に集中するか注意する必要がある」と話している。  ゆっくり滑りは東南海、南海地震の想定震源域より北方の紀伊半島東部や四国北部などの地下30~50キロでも観測されている。想定震源域に近い浅い場所で起きた場合、大地震につながる可能性があるという。   研究チームは岩手・宮城両県沿岸14カ所にある地震計のデータから、本震前の...

地震調査委員会 地震の発生確率を更新

政府の地震調査委員会は11日、国内の主な地震の発生確率を更新し、1日現在の数値を公表した。1年前と比べて東海地震は30年以内の発生確率が1ポイント増の88%に、南海地震は10年以内の発生確率が従来の「10~20%」から20%程度に、それぞれ上昇した。 東南海地震の30年以内の確率は70%程度で従来と同じ。南海地震も30年以内は60%程度で変わらない。千島海溝沿いの地震の30年以内の確率は、十勝沖が「0・3~2%」から「0・5~3%」、根室沖が「40~50%」から50%程度、択捉島沖が60%程度から「60~70%」に上がった。  阿部勝征委員長は会見で「確率が高くてもすぐ起こらない場合もあるし、低くてもすぐ起こることも多々ある。一喜一憂せず、防災について考えることが大事だ」とコメントしている。  地震調査委員会  主な地震の発生確率

南海トラフ巨大地震 M9、震源域2倍へ想定見直し

東海・東南海・南海地震が起きる南海トラフ沿いの巨大地震の想定見直しを進めてきた内閣府の検討会は27日、3つの地震が連動した場合の想定震源域を従来の約2倍に拡大し、地震の規模を東日本大震災と同じマグニチュード(M)9.0に引き上げる中間報告をまとめた。大きな津波が起きる津波地震との連動も新たに想定。津波の高さや揺れの範囲が拡大するのは確実で、沿岸自治体などの防災対策に大きな影響を与えそうだ。   国の中央防災会議が平成15年に公表した東海・東南海・南海地震の3連動の従来想定はM8.7。これと比べてM9.0はエネルギーの大きさに換算すると約3倍に相当する。  従来の想定は、過去数百年に起きた地震の記録を再現できるように作成された。  しかし、大震災で過去数百年の歴史記録になかった連動型の巨大地震が起きたことを踏まえ、科学的な知見に基づく最大級の地震を新たに想定した。具体的な津波の高さや震度分布などは来年3~4月の最終報告で公表する。  新たな想定では、強い揺れをもたらす範囲の想定震源域を3方向に拡大した。南西側は宮崎県北部沖の日向灘の手前までだったが、同県南部沿岸...

宝永地震「4連動」「5連動」説 富士山噴火も

西日本における東日本大震災級の大津波地震はこれまで、東海・東南海・南海地震の3連動地震=マグニチュード(M)8・7=のことを指し、国はこの見解にもとづいた被害予測を公表してきた。しかし、国内最大級のM9となった東日本大震災の発生に伴い、国が新モデルを示すなど、現在見直し作業が進められている。その鍵を握るといわれている宝永地震(1707年)の謎に迫った。   ◆定説覆した東日本  江戸時代に起きた宝永地震はこれまで、記録が比較的多数残っていることなどから「(記録上)国内最大級の地震」(推定M8・6)とされてきた。  国の中央防災会議は平成15年、安政(1854年の南海、東海・東南海)や昭和(1944、1946年)など宝永地震以降に発生した5つの海溝型地震を対象に、3連動地震モデルを提示。2万人以上の犠牲者が予測されるなどとして警戒を呼びかけてきた。  しかし、東日本大震災の発生で、国内で起きないといわれてきたM9地震が現実のものとなったため、3連動地震モデルに対し、地震研究者などから疑問の声があがり始めた。  ◆M9超級か?  昨年10月の日本地震学...

昭和南海地震から65年 体験談から教訓を学ぶ

1946年12月21日に発生した昭和南海地震から65年。和歌山県串本町の沿岸にも津波が押し寄せ、同町串本の袋地区では逃げ遅れた子ども4人が犠牲になり、多くの家屋が流失した。当時、袋地区に住んでいた2人の女性の体験談をご紹介します。   ■「津波の音忘れられない」   同町串本の大水崎地区に住む西栄子さん(76)は、津波で当時6歳の妹、香津子さんを亡くした。地震は午前4時19分に発生。強い揺れを感じ、揺れが収まった後、外に出た。近所の男性が「津波が来るぞ」と大声で叫んでいるのを聞いた。栄子さんは7人きょうだいの長女。幼い弟や妹は両親が手を引いたり、背負ったりして逃げ、他のきょうだいはそれぞれ走って裏山へ向かった。  津波の第1波は「シャブシャブ」と静かな音を立てて足元をぬらした。一番先に家を出た栄子さんは家族の中では最初に裏山に上がったが、続いて上がってきた次女は服がぬれていた。きょうだいを連れた父母は体が浮き上がるほど波を受けたが、何とか逃げた。波は次々にやって来て、第3波が最も高かった。「ギイギイ」と家が流される音が聞こえた。  家族がようやく逃げおおせたと思っ...

南海地震の「長周期地震動」予測地図を公表

南海地震が発生した場合に超高層ビルなどがゆっくり揺れる「長周期地震動」がどう現れるかを予測した地図を政府の地震調査委員会が公表した。大阪市、奈良市、徳島市周辺で大きな揺れが予想され、大阪市内の人工島「舞洲(まいしま)」で最大の揺れ幅となった。 長周期地震動は周期の長いゆっくりとした揺れのこと。大きな地震で発生し、あまり減衰せずに遠くまで伝わる。地盤の軟弱な平野部で増幅され、共振現象によって超高層ビルや石油タンクが揺れやすい。  建造物には共振しやすい固有の周期があり、30~50階建ての超高層ビルは3~5秒、直径60メートルの石油タンクは10秒とされる。昭和21年の南海地震(マグニチュード8・4)の地震動を解析し固有周期3、5、7、10秒の建造物に対する揺れの強さの分布を示した。  周期3秒の建造物の揺れ幅は舞洲で片側63・5センチと最大で、徳島阿波おどり空港(徳島県松茂町)は43・5センチ。自治体庁舎の所在地では東大阪市が56・2センチ、大阪府は30・3センチ、徳島、和歌山、奈良、三重の各県で20センチ以上となった。揺れの継続時間は大阪市などで5分以上と推定した。 ...

東海・東南海・南海 3連動地震への備え 「5分で避難」

東日本大震災を踏まえ、国の中央防災会議の専門調査会が先月、地震・津波対策についてまとめた最終報告書は、大震災を想定できなかった反省から、巨大地震や津波の検討を改めて求め、津波到達時間の短い地域での避難行動について「5分程度」と提示した。東海・東南海・南海の3連動地震も起こりえる西日本の自治体は、地域防災計画の見直しと同様、避難行動や場所の見直し作業にも着手しているところが少なくない。ただし財政的には都道府県、ひいては国の予算措置や補助が必至なため、国レベルの議論が深まることへの期待が高まる。 ◆まずは「逃げ切る」 津波はまず逃げるのが基本東海・東南海・南海の各地震によって、大きな被害が出る可能性のある和歌山県の仁坂吉伸知事は「報告書がまとめられる前に、すでに和歌山県は(避難場所の)再点検を行った。5分で逃げなければ危ない町と、5分で逃げるよりも、30~40分かけても、もっと安全なところへ逃げた方がいい町と、いろいろある。そういうことも念頭に置いている」と話した。  同県は、想定外の巨大津波から「逃げ切る」ことを念頭に置いており、「津波から逃れ、数時間生き残ることができればよい...

「宝永地震」(1707年)はマグニチュード(M)9クラス

東海・東南海・南海地震の震源地になるとされる南海トラフ(海溝帯)で江戸時代に起こった「宝永地震」(1707年)はマグニチュード(M)9クラスだった可能性が静岡大学防災総合センターの石川有三客員教授の研究で判明し、12日、静岡市で始まった日本地震学会で発表された。宝永地震はこれまで、M8・6で西日本最大の地震とされてきただけに、今回の研究成果は東海・東南海・南海地震対策に影響を与えそうだ。   石川客員教授は「東日本大震災の発生により、M9地震の震度分布や、その後の余震の震度分布が明らかになったことから、宝永地震との比較が可能になった」としている。  石川客員教授は宝永地震による震度分布と発生から1カ月間に余震が起きた地域の面積を東日本大震災と比べた。その結果、震度6だったエリアは宝永地震が590キロで東日本大震災の450キロを上回った。余震域の面積は東日本大震災の1・4倍だった。  こうしたことから、石川客員教授は「宝永地震の規模はM9・1~9・3の大きさだった可能性が高い」としている。  東海・東南海・南海地震をめぐっては東日本大震災後、宝永地震の震源域が日...

大阪・上町断層帯、屈曲部で横ずれ型地震集中発生 大規模地震に注意

大阪府を縦断する「上町断層帯」の一部で、断層が平行にずれる「横ずれ断層」型の微小地震が集中的に発生していることが、産業技術総合研究所の研究チームの調査で分かった。静岡市内で開催中(12~15日)の日本地震学会で明らかにした。横ずれ断層型の微小地震の頻発は、大規模地震の引き金になる可能性が指摘されており、研究チームは「周辺に比べて特異な現象で、上町断層帯の活動メカニズムの解明につなげたい」としている。  調査したのは、産総研の地震発生機構研究チームで、平成14年6月~今年1月の約9年間に、産総研などが観測した上町断層帯付近で起きた地震のデータを収集し分析。その結果、この間に、深さ20キロより浅い震源で起きたマグニチュード(M)1以上の地震が計256カ所で確認された。  このうち233カ所を地震のタイプで分類したところ、大半は斜めの断層で乗り上げている側が上方にせり上がる「逆断層」型だったが、弓形になっている上町断層帯が最も屈曲している地域(弓形の頂点付近)では、横ずれ断層型が数十回集中して発生していることが判明した。  上町断層帯は、大阪府豊中市から大阪市を経て、岸和田...