11月, 2009Archive for

東南海・南海地震の被害想定③ 避難生活者

それでは、東南海・南海地震が実際に発生した場合、被害はどの程度になるのでしょうか?過去の地震災害の状況をもとに、「東南海、南海地震等に関する専門調査会」が発表した数値をご紹介します。 (朝5時に発生したと想定した場合) 【避難生活者】 約500万人 停電や断水等のライフラインへの影響は1000万人規模になると試算されており、完全復旧には、最低数ヶ月~1年余の期間が必要になると考えられます。ここ最近発生している活断層型地震の場合は、被災地域も限定的であり、政府・近隣自治体・企業からの救援・応援活動により比較的スムーズに立て直しを図ることが可能ですが、日本の大部分が同時に被災した場合には、状況が一変します。 日本の経済活動や交通機関は、東京・名古屋・大阪を結ぶラインが大動脈になりますが、同時に(又は短期間で)発生する、東海地震・東南海地震・南海地震は、これらの地域、および四国・中国地方(瀬戸内海)・九州の一部といった広い地域に一斉に被害をもたらします。復旧を行うスタッフや物資の絶対数が大幅に不足し、救援物資の輸送もままならない。被災地および日本全土が立ち直るには、か...

長周期地震動対策 ビルの5分の1でも効果

耐震補強は下半身をしっかりと――。ゆっくりした揺れが何分間も続き、高層ビルなどに大きな被害をもたらすとされる「長周期地震動」に対し、5分の1の高さまでの階に対策を施すだけで、ビル全体の被害を大幅に減らせる可能性のあることが、防災科学技術研究所の大型震動台・Eディフェンス(兵庫県三木市)での実験でわかった。担当者は「高層ビルの震災対策の低コスト化につながるのではないか」としている。   実験では、4階建ての鉄骨造りの上にゴムとおもりを重ね、21階建て(約80メートル)のビルと同じ揺れ方をする建物を使った。油圧で揺れを抑えるオイルダンパーで1~4階部分を耐震補強し、東海・東南海地震の際に名古屋市で予想される揺れ(震度5強)を再現。その結果、耐震補強を全くしなかった昨年3月の実験に比べ、建物の変形は1~4階部分で半減、それ以上の高層部分でも2割程度減った。 昨年3月の実験では、各階の梁(はり)が変形し、2、3階では一部のつなぎ目が壊れた。今回の実験では、約5分間の揺れの後でも建物に大きな被害はなかった。低層部分に設置したダンパーが、高層部分も含めた建物全体に掛かる力を吸...

津波避難タワー完成 津波避難困難地域対策

昭和の南海地震(1946年)で多くの津波犠牲者が出た和歌山県田辺市文里地区に、市内で初めての津波避難タワーが完成し、市が落成式を開いた。地元住民らは「近い将来大地震が来ると言われているが、これで安心して暮らせる」などと喜んだ。 文里地区では昭和の南海地震の津波で37人の死者が出た。今後、東海・東南海・南海地震が同時に発生した場合、県はこの地区に25分後に最大5メートル以上の津波が押し寄せると予想している。タワー周辺の地域は標高約2メートルと低く、一時避難所まで遠い「津波避難困難地域」で、タワー建設には地元の強い要望があった。  最上部の避難ステージまでの高さは7・8メートル。県が3つの地震が同時発生した場合に予想している、タワー周辺の津波の高さを2メートル余り上回る。タワーは鉄骨構造で、2カ所に入り口がある。普段は施錠しているが、緊急時は薄い扉をけり破って入る。ステージの広さは45平方メートルで、津波避難困難地域の全住民が避難可能な約100人を収容できる。 ステージ上には、毛布や懐中電灯、非常食、簡易トイレなどが入った備蓄のための箱6箱も備えている。  式典には...

昭和南海地震 体験談

繰り返し起こるプレート型地震においては、過去の被災状況を把握しておくことも、次の大地震に備えるうえで、非常に大切なことです。津波被害が深刻だった昭和21年の昭和南海地震。徳島市がまとめた体験談から一部抜粋のうえ掲載させて頂きます。   私の家は、昔の中二階建てで、この辺りの家は、全部で60戸くらいしかなかった。ほとんどが田圃で、その間にポツポツ家があった程度だった。地震の揺れは、かなりのものだった。当時、私の父親が「こんな大きな地震は生まれてこのかた初めてじゃ」と言っていたのを覚えている。揺れの方向は、特に横揺れがひどかったように思う。近所の米の土蔵が半壊したのを覚えている。 近所の佐々木さん宅の隣に小さな消防ポンプと半鐘があり、警防団の人がその半鐘を激しく叩いていたのを聞いて、津波が押し寄せてくることを知った。津波が押し寄せてくるときに沖の方から「ゴーッ」というものすごい音がした。5回くらい、引いては寄せる激しい音がしていたように記憶している。津波は、2回目が大きかった。  私の父親は、家で飼っていた農耕用の牛を連れ、母親は、小さい子供たちを連れて、大原町の千代ヶ...

長周期地震動 都市部の高層ビルに注意!

近い将来に発生が懸念される東海地震や東南海地震では、長周期地震動と呼ばれる大きく長い揺れが超高層ビルなど大都市圏の巨大建造物を襲うとされています。政府の地震調査委員会がこの9月に公表した「長周期地震動予測地図」(試作版)では、東海地震発生時に首都圏が特に大きな影響を受け、大きな揺れが長く続くことが示されました。高層ビルの上層階は避難や救助活動が困難で、深刻な都市型災害となる恐れもあります。 ≪ビルを襲う“荒波”≫  地上にいる人がガタガタ、グラグラと感じる通常の揺れは、周期(1往復の揺れにかかる時間)が0・5~2秒程度。これに対し、周期がおおむね3秒以上の揺れが長周期地震動と呼ばれる。荒波にもまれた船内のように大きな揺れが建物によっては数分間以上も続く。  一戸建てや中低層ビルよりも、超高層ビルや石油タンク、レインボーブリッジなどの長大橋のような大規模建造物への影響が大きいのが、長周期地震動の特性。建造物の規模が大きいほど揺れやすい波長(固有周期)が長いからで、地震の周期と建物の固有周期が一致すると「共振」によって揺れが増幅する。  長周期地震動はマグニチュード...

東南海・南海地震の被害想定② 死亡者数

それでは、東南海・南海地震が実際に発生した場合、被害はどの程度になるのでしょうか?過去の地震災害の状況をもとに、「東南海、南海地震等に関する専門調査会」が発表した数値をご紹介します。 (朝5時に発生したと想定した場合) 【死者数】 12100~17800人 激しい揺れによる建物の倒壊、津波、火災、がけ崩れ等の理由から、死亡者数は約17800人にも及ぶと想定されています。激しい揺れが理由で亡くなる方は、全体の半数~3分の1程度であり、津波による被害が揺れと同数程度にもなると見込まれています。太平洋沿岸の広い地域に津波をもたらす本地震の特徴ともいえますが、沿岸部プレート型地震で類似した東海地震との比較でも、その差異がよくわかります。 建物の耐震補強もさることながら、①防波堤や津波タワーの設置 ②(津波を意識した現実的な)避難場所の設置 ③地域住民の防災意識の徹底等といった本腰を入れた津波対策が必要不可欠です。沿岸部では、地震発生から津波到来までの10分~20分の判断と行動が生死を分けます。悠長に準備する時間も考える時間もありません。また、沿岸部以外でも、津波は河川を...

東南海・南海地震の被害想定① 建物倒壊

それでは、東南海・南海地震が実際に発生した場合、被害はどの程度になるのでしょうか?過去の地震災害の状況をもとに、「東南海、南海地震等に関する専門調査会」が発表した数値をご紹介します。 (朝5時に発生したと想定した場合) 【建物倒壊】 約35万棟 激しい揺れのほか、液状化現象、津波、火災、がけ崩れ等の理由から建物の全壊は約35万棟にも及ぶと想定されています。揺れ以外の理由が約半数を占めることから、耐震補強のみならず、地盤そのものや津波への事前対策が必要不可欠と考えられます。また、火災についても、被災時の風の強さや火気類の使用状況によっても左右されることから、冬場や食事時等で火を使用する等の条件が重なった場合は被害が拡大します。 ※津波防止のため海岸沿いや河川に水門を設置していすが、地震の揺れで閉鎖できなくなる可能性があります。この場合、津波被害は約4割増加します。 ※震度6強程度揺れる地域を対象としていることから、震度6弱未満の地域も含めると倒壊被害は2割以上増加します。

震度6強、南海地震を想定 合同災害警備訓練

南海地震を想定した中四国の警察による合同災害警備訓練が11月17日、高知市内で行われた。土砂に埋もれた乗用車からの救出救助訓練では実際の車両を使うなど実践的で、参加した警察官は雨の中、本番さながらの真剣な表情で取り組んだ。 合同訓練は06年から実施されており、中四国9県の警察官や県内の消防隊員など約510人が参加。南海地震で震度6強の揺れが襲い、ビルや家屋の倒壊、列車脱線事故などを想定して行われた。  救出救助訓練では、車が埋もれた土砂をシャベルで取り除き、エアカッターで天井部を切り開いて救出。直ちに担架で運んだ。警察官らは「左へ回れ」、「もっと急げ」など指示を出し合いながら、お互いの連携を確かめていた。  高知県警警備二課の林喜幸次長によれば、「災害で最も大事で難しいのは連携。今回の訓練で互いの連携を高め、今後南海地震などに役立てたい」と話していた。

東南海・南海地震 東海地震が引き金で連動

3つの巨大地震「東海地震」「東南海地震」「南海地震」は、単独ではなく、それぞれが連鎖して発生する可能性が高いと考えられています。それには、同時発生により大規模な地震になる場合と、数年の時間差で発生する場合があります。 駿河湾から四国沖に延びる「駿河湾トラフ」と「南海トラフ」は、太平洋側のフィリピン海プレートと西日本のユーラシアプレートの境界にあたります。このうちフィリピン海プレートは、1年に約4センチ程度の速度で北に向かって進んでいますが、2つのプレートの境界面は引っかかりが多く、スムーズに動けないという状況が常に生じています。やがて、この引っかかり部分が一気にずれ大きな地震が引き起こされることとなります。これが、「東海地震」「東南海地震」および「南海地震」が起こる大凡の仕組みです。 また、これらの地震は、過去からともに連鎖する傾向があります。1707年の宝永地震では東海沖から四国沖のプレート境界がいっせいにずれ、室戸岬が2m近く隆起した一方、高知市が2m沈降するという非常に強い力が働きました。その後の1854年 安政東海地震においても東海地震の32時間後に南海地震が発生、...

東南海・南海地震の想定震源域は?

東南海・南海地震の震源域はどのあたりと考えられているのでしょうか?過去に発生した同地震の発生状況から、専門家が示す想定震源域を確認しておきましょう。 この海域では、1600年以降、1605年の慶長地震(M7.9)、1707年の宝永地震(M8.6)、1854年の安政南海地震(M8.4)、1946年の(昭和)南海地震(M8.0)が発生しており、いずれも東南海地震と同時、または東南海地震の発生後2年以内に南海地震が発生しています。この領域で今後30年以内に地震が発生する確率は、概ね50%強程度と考えられています。  また、次の南海地震と東南海地震の発生時期の関係は、過去の事例から、同時又は相互に近接して発生するかのいずれかである可能性が高いと考えられます。後者の場合には、東南海地震、南海地震の順番で発生する可能性が高いと考えられます。 尚、参考までに、前回の昭和東南海地震(1944年)・昭和南海地震(1946年)の震源域もあわせて掲載しておきます。